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【講演レポート】「太田哲也の出張授業<夢を実現するために〜チャレンジ>」
2012年小学校第一回が行われました。

○日時:10月30日(水)
○場所:宮城県・松島町立松島第五小学校
○主催:朝日学生新聞社
○共催:出光興産株式会社
○参加者:小学4〜6 43名(全校生徒83名)


太田哲也の小学生向け出張授業は、今年で4年目。授業の前に教頭先生が生徒たちに「110校の応募の中から本校が選ばれました。何校に来てくれるんだと思う?」とくと、生徒達が元気の良い声で「7校!」「5校!」と答えました。教頭先生が「110校の中から、今年来ることになった学校はここを含めて2校だけなんだよ」というと、体育館いっぱいに生徒たちの「えーー!」という歓声が!

松島第五小学校は、幼稚園も学校内にあり、地域の皆さんにも根付いた明治からの歴史ある学校です。大正時代に作られた有名な童謡「どんぐりころころ」の作詞者・青木存義さんの出身校でもあります。学校に到着すると、校庭にいる子どもたちが「こんにちは!!」と元気よく挨拶してくれました。
体育館に集まった43名の生徒たちは、真剣に話を聞き、質問コーナーでは、手がたくさんあがりました。

〜以下、質問コーナーより〜

生徒:なんで事故があったのに、またレースに戻ったんですか?
太田:最初はレースしか自分にできる仕事はないって思ったんです。仕事ってないと困る。単純にお金が入ってこないだけでなく、立場とか世の中での存在感とかなくなってしまう。子どももいるし、働かないわけにいかない。レースが好きというより自分の仕事を見つけなきゃ、となるとレースしか思いつかないという感じでしたね。それでサーキットに戻るしかないという方向になったんですけど、だからこそレースとは違う別の仕事を見つけられたということです。


生徒:太田さんにとってはレース場は好きな場所ですか?
太田:好きな場所でもあるけど自分の元いた場所であり、戻るべき場所という感じですね。


生徒:事故に遭ったのにまた車に一年ぶりに乗って(事故のことを)思い出したりして怖かったことはありますか?
太田:それはもういっぱいあったよね。車に乗っていて雨がすごく振ってきたとき、窓ガラスに水滴がぽんと跳ねる様子を見たら、事故のシーンを思い出して、体中がぞくぞくしてきて気持ちを抑えられなくって「うわぁー」っていう感じ。もう運転できないと思ったことはいっぱいあります。ではなんでそれが克服されたかというと、それを避けていたんじゃなくてそういう怖いことがあったから乗らない、のではなくてそれでも乗った。嫌なこともあるけど車があればいろんなところに行けるし、それは楽しいから。そうやっていたらだんだん怖くなくなっていった。全然違う話なんだけど、僕のうちにボストンテリアというブルドックみたいな顔した犬がいるんだけど、この犬も小さいころはいつも車に乗ると吐いてしまって、でも辛いんだけど吐きながらも着いたところの野原で遊ばせてあげると喜ぶんですよ。だからいつも車に乗り込んできていて、着いた後を楽しみにしてるんだよね。それと似ているかもしれない。ぼくも運転していると嫌だなと思うことがあるけど楽しいことがある。うちの犬と同じだね。
つらいことも思い出すけどそれよりも好きなことを大事にするって感じかな。


生徒:今乗っている車はなんですか?
太田:アルファロメオというイタリアの車です。フェラーリってわかるよね? フェラーリとアルファロメオとマセラティはみんな同じフィアットという会社のグループなんです。壁に貼ってある写真の一番右の赤いのに乗っています。
太田:君はクルマは好き?
生徒:大好きです!
太田:何が好き?
生徒:ランボルギーニです!
太田:ランボルギーニ! いいねえ。フェラーリのライバルだ。ランボルギーニはランボルギーニさんというトラクターを作っていた会社の社長さんが、フェラーリに乗っていたんだけど、エンツォ・フェラーリというフェラーリを作っている会社の社長に、もうすこしこういう風にしてくれと言ったら無視されてしまったんだ。俺の車に文句を言うなって。それで悔しくてフェラーリに負けるもんかって思って、自分の会社で作ったのがランボルギーニの始まりです。そして今はよきライバルです。君も大きくなったらランボルギーニに乗れるように頑張って。
生徒:はい
太田:チャンスの女神と仲良くしたら、なれると思うよ。


生徒:リハビリはつらかったですか?
太田:そうねえ……。病院では手の甲の皮膚がついていないのに、動かさないと指が動かなくなっちゃうから皮膚がないままリハビリしてました。先生も大変だったと思います。よくやってくれたと思います。足も力を込めて関節をごりごり力づくで動かしてくれました。僕としては痛かったはずだけど、時間がたつとだんだん忘れちゃって、あんまりつらかった記憶がなくなるんだね。だから人間ってうまくできているなって思いますね。


生徒:今レースをしているんですか?
太田:昔のようなルマン24時間レースに出るような360km/hも出る高性能なマシンではないけど、改造範囲の狭い小さい車で、チームのメンバーを率いて監督として、そして自分でも走ってやっています。だんだんうまくなってきていて、また大きいのにも乗れるかなと思っています。
生徒:私も震災前にバギーレースに出たことがあります。
教頭:○○ちゃんは、お父さんが日本で4位になったりしているんだよね。
太田:そうなんだ。じゃあレーサー?
生徒:震災で水に浸かってしまって今はできないんですけど、前にお父さんにやらせてもらいました。
太田:それは、すごいね。女性でもレーシングドライバーで活躍している人は海外にはいっぱいるので、ぜひレーサーを目指してみてください。
生徒:はい、検討してみます(笑)
太田:夢があるんだよね。血液検査技師になりたいんだっけ? なんで?
生徒:お母さんが看護師で小さいころから看護師になりたくて、でもお母さんから、私は細かいことに向いているから血液検査技師になったらって言われたんです。
太田:血液検査技師なんだ。
生徒:はい。
太田:ぜひお母さんにも伝えてほしいんだけど、こうやって僕が治ってこられたのは、ドクターと看護師さん、あるいは精神科のドクターやリハビリの先生、それ以外にも検査技師の人などチームで治療にあたってくれた多くの医療関係者の人たちがいたからなんです。お母さんにありがとうって伝えて欲しいし、またそうやって医療関係者になりたいという話を聞くと本当にありがたいです。ぜひ頑張ってほしいと思います。


生徒:自分が一番好きな言葉は何ですか?
太田:僕のモットーでもあるけど、KEEP ON RACINGと書いた旗があったけど、直訳するとレースをやるぞということなんだけど、僕の思いは生きることを続けるんだという意味です。左手で書いたこのメッセージを、常に自分に言い聞かせています。ゼロからのスタートなんだって。
生徒達:……
太田:あっ、キープっていうのは続けるという意味でね、レーシングはまあレースだけど、つまり生きることを続けるぞという意味合いで使える方の左手で書きました。KEEP ON RACINGが好きな言葉ですね。
左手で書いたにしては上手でしょ?君らも左手で書いてみたら?一カ月くらいすればすごくうまくなるよ。
生徒の中のひとり:僕は左利きだからうまく書ける
太田:左手の人は右手でね。左利きの人が左で書いたら当たり前だもんね。
生徒たち;(笑い)


生徒:今のクルマのお金はいくらですか?
太田:お金かい……。まあ今のは僕の会社で持っていて4〜5台あるけど、一番高いのは2千万くらい……。
生徒たち:えー、家が買えるよー。
太田:普段僕が乗っているのは500万くらい、でも会社の車だからね。でもみんなそういうのに乗ろうと思えば乗れるようになるんだよ、チャンスの女神をどんどんつかんでいったら。フェラーリとかはわからないけど。そう思ってガンバってください。


生徒:私は目が痛い時に、お母さんに当たってしまいました。太田さんはつらくて家族に当たってしまったことはありますか?
太田:めちゃくちゃ当たりまくりでした。申し訳ないけど、体が痛いと心も痛くて、一番うちの奥さんにあたっていましたね。今は反省してます。
お母さんはどうでしたか?
生徒:お母さんってバカ親っていうか甘いから私が当たると泣くんです。お母さんが泣いているのがかわいそうで「ごめん」を言いました。
太田:なるほど、それはもしかしたらバカ親ではなくてすごくいい方法かもね。結果として君は気づいたからね、当たっちゃいけないって。
うちの奥さんは泣いたりはしなかったな。まあそうなっちゃうのは仕方ないけど後で反省してごめんねと言えたのはいいんじゃないかな。


生徒:もし太田さんが事故が起きた前のレースに戻るなら何ができましたか?
太田:あの日はすごい大雨でとてもレースができるような状態ではないなと思っていて、走りたくないなっていう気持ちもあったけど、僕らはプロだから走りませんっていうわけにはいかなくて、その中で何ができたかっていうと割となくって、事故の瞬間も、安全地帯に止まっているポルシェに正面衝突だけは避けようとぶつかるまでの一秒くらいの間にクルマをスピンさせてそれはうまくいったんだ。それで衝撃が収まって相手も死ななくてよかった。じゃあそもそもレースなんてやらなかったらよかったという話でもないだろうし。何だろう、あんまりこうしたらよかったということはなかったかなと思いますね。後悔してもしょうがないし。
事故がなければよかったなという思いはあるけど、事故がなければレースの道で成功していたかもしれないけど、でもただ一つ言えるのはレースの事故があったからこそレースだけやっていたとしたらわからなかったことを知ることができたかなって。それで今日みんなに話したりすることができたのかなと思うと、なくてないに越したことはないけどあったらあったでいろんなことを学べたなとは思いますね。


生徒:将来、放射線技師になりたいんですけど、太田さんは放射線技師の世話になりましたか?
太田:みんな(はっきりした目標があって)すごいね。お父さんとかそういう関係なの?なぜそうなりたいと思ったの?
太田:いろんな人の話を聞いてです。昨年、病院にお世話になったので、自分もなりたくなりました。
太田:そういうのはあるよね。放射線はよく受けましたよ。ものすごくお世話になりました。みんなが医療関係者を目指してくれるのは、とてもうれしいことです。僕も病院にお世話になったので、自分が若かったら医者になりたいという気持ちがあるから、よくわかります。頑張って目指して、多くの人を助けてあげてください。


生徒;一番好きなサーキットは?
太田:鈴鹿サーキットかな。とてもチャレンジングなコースで、ドライバーががんばればタイムが出るコースです。一番嫌なのはル・マンかな。一般道で、そこを時速360キロくらい出るから怖いなあと思うけど。君もレーサーになるの?
生徒;うーん
太田:レーサーって女の子にもてるから考えてみてよ。みんなにもお願いしたいけどクルマって楽しいから、好きになってね。18になったら免許を取ってね。人生が楽しくなるからね。

【生徒代表の感想発表】
教頭:3人の感想を聞いてください。
生徒:お話にあったように、自分を磨くことを頑張っていきたいと思います」(4年生)
生徒:太田さんの事故から立ち直るまでのお話を聞いて、つらかったことや苦しかったを乗り越えたのがすごいと思いました。ありがとうございました(5年生)
生徒:事故のビデオを見たりして今までつらかったと思うけどそれを乗り越えられるのはすごいなと思いました。
太田さんの話を聞いて困難にあってもすばらしい経験を得てまた新しい自分が生まれるということに感動しました。この先につらいことがあっても、0(ゼロ)から新しい自分が生まれ、新しい経験ができることがわかりました。私も太田さんの生き方に学んで成長していきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。(6年生)
教頭:教員を代表してどうですか?
担任先生:本日は遠いところありがとうございました。本やテレビではうかがっていたんですが直にお話を聞かせていただけました。すごい経験をした方のお話を聞くのは、テレビや本のなかに限られてしまいますが、そういう意味で、今日、直接お会いしてお話を聞けたことは、貴重な経験になりました。太田さんのお話の中に「生きることはつらいことだよ」というのがあったんですけど、今後、つらいことがあったとき、太田さんが立ち直られたように、下がっても必ず上昇することができるんだとわかったし、落ち込んでも這い上がりたいと思います。また、家族や友人の支えがあって自分がいることを痛感しました。感謝の気持ちを込めてお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。(担任先生)
太田:ありがとう

教頭先生:今日、初めてお話を聞きましたが、子どもたちも感じた思うけど、太田さんに初めて会ったような気がしません。いろんなものを乗り越えた強さと優しさを感じました。子どもたちに訴えるものがあったと思います。生徒たちが長時間静かに聞き入っていたことからもわかります。中身が本当にいい話でしたので、伝わるものがたくさんありました。

【講演を終えて〜校長先生談話】
110校の中からの2校ということで、本当に貴重なお時間をいただきました。将来の夢や生き方についていつも伝えてはいますが、こうして来ていただくと得るものが違います。宮城県では自己有用感を高められるよう「志教育」というキャリア教育を行っています。お話を聞いて、ぴったりなお話で、生きるうえでのキッカケを掴んでくれたのではないかと思います。(校長)

(文/隠岐麻里奈)





〜生徒たちから感想が届きました!〜

【4年生】
自分の周りにチャンスの女神がいることを知り、クルマが好きになりました。そして自分の夢をつらぬき通すことを決めました。それに一番大切なことは何か、これから先をどうふみ出すのかを教えていただきありがとうございました。

生きる大切さや、チャレンジをするということが分かりました。あと交通安全も右・左をきちんと確認して気をつけて渡りたいです。私はあきらめてしまう事が多いので、あきらめない気持ちをきちんと生かしてがんばりたいです。

交通事故にあわないように、信号が青でも右見て左を見るようにしたいです。後横断歩道でも気をつけたいです。そしてチャンスの女神と仲良くなれるようになりたいです。何かをあきらめないでやることが大切だと思いました。


【5年生】
私は今回の講演でとても心を動かされました。人生・心のどん底から事故前の普通の生活へとはい上がった太田さんの勇気・力はとてもすごいと思います。それと、夢をかなえるまでには、家族・友人の愛と絆がなくてはならないということに気づきました。

チャレンジする大切さやあきらめない大切さが分かり、夢を実現するためには無駄なことはないと気づきました。ありがとうございました。

生きることはつらいこともあるけれど、希望をもって行き続ければ、必ず道は拓けるということがよくわかりました。チャンスの女神に出会えるよう、前向きに一日一日を過ごして行きたいと思います。


【6年生】
例えば何かつらい事があってもそれで終わりではなく、ゼロからのスタートだととらえ、小さなことを日々積みかさねれば、いつか元の夢にたどり着くものだと分かりました。夢をかなえるために頑張ります。

チャンスの女神がつかめるかどうかは分かりませんが、チャンスの女神をつかむ方法は分かりました。夢を大きく大きくして、現実を自分のものにすれば夢を実現できると言っていた太田さんの講演を無駄にしないようにしたいです。

自分は、太田先生の話を聞いて本当に大切なものは家族や命だと思いました。太田さんはチャンスの女神の話をしてくれましたけど、たくさん教えてくれた太田さん自体がチャンスの女神だと思えました。

太田さんの言葉を聞いて、診療放射線技師になろうという気持ちが強まりました。夢をかなえるには努力が必要だとわかったので頑張ります。ありがとうございました。



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講演に来てくださった皆さん、誠にありがとうございました。

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よろしくお願いいたします。


KEEP ON RACING 事務局


 




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