東京自動車大学校では、整備士を送り出すための勉強を生徒たちにさせるだけでなく「人間教育」を大事にしているそうです。校長先生によると「自動車整備を通じて人間教育をさせるのがテーマ」だと言います。
「私がいつも学生たちに話しているのは、自動車という分野は狭いけれど、その道で深く勉強した人が必要とされる。なぜなら、モノの道理を道を究めることでわかるようになるからだ。それをスペシャリストと呼ぶのですよ、と言うんです」
その話を聞いて、深く共感していた太田さんは、「道を究める」ために学生時代に何が必要か、社会に出るために大切なことについて講演で触れていました。
1)速く走ろうとしない。
2)自分のスタイルを押しつけない。
3)自分の思いだけでなく客観的な目で見る
4)先生に言われたからではなく、自分が社会に出ていくために勉強を自らする。
5)道を究めることで必要とされる人間になる。
6)ハードな仕事は基本的に辛いけれどやりとげたときに喜びがある。組織のために貢献すること。
今回の講演後の質問コーナーでもそうした質問がたくさん太田さんに投げかけられました。
Q:プロ意識の作り方を教えてください。
太田「現役時代、レース前に風邪をひいてしまい治そうと思って薬を飲んでしまったことがあったんです。その結果、クルマをぶつけて修理代がかかってしまった。そのときものすごく反省したんです。なぜ、薬を飲んだのか? それ以前に日頃から体調管理をもっと厳しくするべきではなかったのかって? プロである以上、なにかあればみんなに迷惑をかけてしまう。プロは最高のサービスをするのが仕事。そのためにどうすべきかを逆算して考えていく。そうすれば、いまやるべきことがわかるはず」
Q:太田さんにとっていいメカニックはどういう人ですか?
太田「絶対的に人間性。性格がいいとか悪い人とかではなくて、信頼できる人物。僕らはメカに命を預けているのだからね。能力が足りない人にはいくらでも教えられる。でも、「チェックしたか?」と問われ、勢いで「やりました」とウソを言うヤツは絶対ダメ。それならば「すみません」と謝って怒られる人のほうが伸びる。
知らないことは知らないということも大事」 |