フォルクスワーゲンゴルフGTIカップ第4戦 (富士スピードウェイ)
伊藤真一選手がエキスパート3位、野澤選手がクラブマン2連勝!
2007
Volkswagen Golf GTI Cup Japan Series Rd.3
会場:富士スピードウェイ
天候:晴れ
コース状況:ドライ
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ゴルフGTIカップ第4戦が8月4/5日に富士スピードウェイで開催されました。Team KEEP
ON RACING(27号車)から前回に続いて参戦した伊藤真一選手は、エキスパート3位(総合3位)、前回のもてぎでクラブマン初優勝を飾った野澤選手は、2戦連続となる優勝を飾りました。
今回は、スーパー耐久レースと同時開催で行われ、3日の練習走行からはじまり、4日の予選、5日の決勝と3日に渡って行わる長期戦のレースとなりました。
3日の練習走行1本目は、どしゃぶりの雨のなか行われました。ステアリングを握ったのは、太田哲也監督。久しぶりの走行となるゴルフGTIカップカーと、事故以来はじめて雨のなかを走る富士スピードウェイとあって「緊張する」と太田監督。しかし、走り始めると25分間を意欲的に走り、ちょっと物足りなかったようです。「オレも、今度GTIカップを走ってみようかな」と意欲(?!)をちらりと燃やしていました。走行後には、野澤選手とコースについて語り合うのもなんだか妙に楽しそう。でも、そこは太田監督。雑談のなかでも、野澤選手にしっかりアドバイスをしていました。「野澤さんは、センスあるよ。あとは、経験だ。人から話を聞いて覚えたことをメモして積み重ねていくことが大事だよ」(太田監督)
練習走行2本目には雨もあがり、伊藤選手も登場。2週間前にもてぎで復帰レース、そして先週末には鈴鹿8耐で2輪の復帰レースに臨んだ伊藤選手でしたが、満身創痍の状況ながらも鈴鹿8耐では3位入賞を果たしました。
「30度以上の猛暑のなかだったので、最後の10周は、もう体力もなくなってヘロヘロの状態でした。でも、ゴルフGTIカップに出ていたおかげで、レースの感覚も戻っていたし、予選も緊張しないですみましたよ!」と伊藤選手。
4日の予選。曇り空でしたが、雨の心配はなさそう。予選前にニュータイヤに履き替え、タイヤのオイシイところを使える1周目がポイントとなる。伊藤選手、野澤選手ともに「最初からアタックする」と言いピットを後にしました。そして、結果は伊藤選手が予選3番手、野澤選手が5番手(クラブマン2番手)。伊藤選手は、「ブレーキを新しく代えていたので思った以上によく効いて、1コーナーで踏むタイミングが早すぎた。悔しい」とひとこと。リザルトをみると、またもや前回同様笑顔ながらも「リザルトは見たくないですね」と負けん気の強さをみせました。野澤選手は、予選5番手の位置。「伊藤さんにはストレートでなかなか追いつけません! 明日も頑張ります」。予選はポールポジションに浜崎選手(EXPERT)、2番手に白石選手(CLUBMAN)、3番手に伊藤選手(ESXPERT)、4番手にスポット参戦の大井選手(EXPERT)、5番手に野澤選手(CLUBMAN)、6番手に中村選手(CLUBMAN)と続きました。
そして、5日の決勝。これまで不安定だった天候はうそのように、快晴で気温もぐんと上昇。スタート直後の1コーナーでインからさした伊藤選手と2番手の白石選手が接触し、ここで順位がかわります。1番手は浜崎選手、2番手が大井選手、3番手伊藤選手、4番手野澤選手。伊藤選手は前をいく大井選手を追いかけますが、接触によるマシントラブルもありストレートが伸びず、このまま3位フィニッシュ。一方の野澤選手は、クラブマン2戦連続となる優勝を飾りました。
熱い路面でタイヤの消耗もいつもよりも早く、何度も接触やスピンがあり、順位の入れ替わりやバトルも激しかった第4戦。
「インからさしたつもりでしたが、白石選手には申し訳なかったです。大井選手をなんとかとらえたかったのですが、残念です。2戦通じて感じるのは、ゴルフGTIカップカーが安全で楽しいクルマだということ。次戦の最終戦は、地元の菅生なので頑張ります。太田監督と出られるようにしたいですね」(伊藤選手)
「今回は、たなぼたの優勝です。トラブルを抱えている伊藤選手に追いつくことができませんでした。自分自身もタイムは前回の富士よりも上がりましたが、プロドライバーの路面状況に応じたタイヤの使い方はさすがですね。これで、最終戦までポイント争いを引き伸ばすことが出来たので、最後までがんばりたいと思います」(野澤選手)
「チームが2台体制になり、ワンメイクレースとはいえ、セッティングのノウハウなど必要な情報が集まってきて、総合力が速さにつながってきたことを実感している」(太田監督)
次戦は、いよいよ最終戦となる菅生の100km耐久です。みなさま、どうぞお楽しみに!
取材・文/隠岐麻里奈
● GTIカップ参戦メンバー紹介
ゴルフGTIカップに参戦するメンバーの方たちは、職業も年齢も住む地方も様々なみなさん。ほとんどが男性選手ですが、竹岡圭選手と中村裕佳子選手という2名の女性ドライバーも奮闘しています。私からみるとレースに参戦している女性なんて、カッコイイし、すごいわー!という感じです。さて、今回は参戦メンバー3選手とお話する機会がありました。すると、偶然にも皆さんお医者さん!だったのです。産婦人科と外科と内科のお医者さんが揃っているなんて、頼もしい限りです。では、さっそくご紹介しましょう。
■17号車 白石隆選手
2003年のルポカップから参戦している白石選手。今年は2007年モデルのGTIカップカーで参戦、クラブマンのポイントリーダーです。「はじめたころは、ものすごく練習してたんですよ。でも、減ったタイヤで練習しすぎると癖がついてしまうといわれて、最近は普通になりました(笑)」。白石さんの本業は、産婦人科医の先生。最近では癌の免疫療法についても担当されているそう。意外な事実にビックリです! そんな白石選手からみたゴルフGTIカップの魅力について、どう思われますか?「エキスパートクラスと一緒に走れるところはいいですよね。名だたる選手と一緒に走れる機会なんてなかなかないですから」。現在、TEZZO
RACERS CLUBの野澤選手とはポイントリーダーを争うライバル同士です。「昨年、野澤さんがたったひとりで参戦していたときは、実力があってもミスも多くていろいろなアドバイスを僭越ながらもさせてもらったんですけどね。まさか、ライバルになるなんて! 並み居るエキスパートをしたがえてPPになったときの緊張感は僕もわかります。でも、ゴルフGTIカップは和気あいあいながらも本気なのがいいんですよね」
■81号車 鈴木裕麿選手
「砂沼湖畔クリニック」と書かれた文字にフォルクスワーゲンのカラーリング。目立つクルマだなぁと思ったのが第一印象でした。「このクルマ、2005年のゴルフGTIカップデモカーだったんです。どうしても白の車輌が欲しかったので、買わせてもらったんです」と鈴木選手。"走る外科医"の鈴木選手、普段の足にもカラーリングそのままにゴルフGTIを走らせているため、目撃情報が後をたたないとか。「ええ、すでに4万3000キロ乗ってますから。信号待ちの後で患者さんが爆笑していることも多々あるようです」。ところで、鈴木さんはMGF(イギリスのオープンカー)で長いことレースをしていたそうですが、その昔、つくばサーキットで太田さんにもぶち抜かれた(失礼)ことがあるんだとか。また、Tipoを待合室に常備しているそうで、「太田さんの記事はずっと読んでるんですよ」。さて、鈴木選手ですが、昨年の富士で実は受付帰りに自転車で転倒して、レースを迎える前に手首骨折という重傷を負ってしまったのです。「一時は握力が4キロまでに減ってしまったんですよ。でも、太田さんも言ってますけど、失ってみえてくるものってあるんですよね。僕は外科医なので大腸カメラを扱うのですが、手の力が抜けて、なんとうまくなったと評判なんですよ!」
■ 75号車 藤尾裕宣選手
今回、お隣のピットだった藤尾選手。「娘が太田さんのファンで…、サインをいただけますでしょうか?」と、ご一家でピットに遊びにきてくれました。藤尾選手は、北九州から参戦している選手で、今回も忙しい合間を縫って飛行機で往復しての参戦です。藤尾選手は5年前、ゴルフ3で九州から比較的近くの美祢と岡山に参戦されていたのだとか。そして今回のレースですが、予選は14番手だった藤尾選手ですが、決勝では11番手まで順位をあげる奮闘ぶり。「きのう太田さんに握手してもらったのが効いたみたいです!」とレース後、うれしそうな藤尾選手でした!
(取材・文/隠岐麻里奈)
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