昨年、今年と95校の小学校から応募をいただいた太田哲也の出張授業。今回行った小千谷市立岩沢小学校は、昨年と今年2年連続の応募をした学校でした。自身が白血病を患い骨髄移植から現場復帰できるまでに回復した渡辺校長は、「命の大切さ」を授業で扱ってきました。今回２年連続の応募となったのはまったくの偶然とのことでしたが、常日頃から「命の大切さ」を考えているからこそ、「ぜひ太田さんに」と昨年も今年も担当の先生が応募されたということでした。

今回は、初めて音楽教室での開催です。いつもと違って、太田さんと子どもたちとの距離も近く、マイクもなしで本当の授業のようでした。

授業前に先生方は「おとなしい子たちが多いので質問の手があがるかどうか…」と心配されていました。小千谷では3世代が一緒に住んでいる家庭が多く、幼稚園から小学校まで同じ生徒たちと少人数で過ごすため、大きな声で自分を主張しなければいけない場面もあまりなく、お互いがお互いのことを知り尽くしている居心地のよさがあるが反面、主張することを苦手とするところが課題だとのことでした。

そして、質問コーナーが始まってみると実際に、最初はなかなか手が上がりませんでした。ところが、コーナーが進むにつれて続々と手があがりはじめました。

授業のなかで太田さんが「チャンスの女神は、自分の尻をたたいて積極的に何でもやってみようとする子に微笑んでくれる」といっていた言葉を思い出し、実行してみたのでしょう。

「黒いマントの男に出会った時の光景は覚えていますか？」
「ライバルはいますか？」
「太田さんにとってクルマとは何ですか？」
「療養中、どんな人に励まされたり励ましたりしましたか？」
「練習、レース合わせてレーシングカーには何回乗りましたか？」
「なんで生きようと思えるようになりましたか？」
「3年ぶりにサーキットに足を踏み入れたとき、どんな気持ちでしたか？」
「ヘルメットやクルマの色は何で赤なんですか？」

質問内容が具体的で、授業で聞いた話の中から子どもたちがそれぞれ心の中で何か感じ取ったことが伝わってきました。

最後には、太田先生への歌のプレゼントがあり、一生懸命に全員で合唱してくれました。

思いのほか、質問の手があがったことに校長先生はじめ先生方は喜んでおられました。
「子どもたちが質問できたのは、太田さんの話が具体的だったからだと思います。抽象的な話を聞いても何を質問してよいのかわからなかったでしょう。子どもたちは太田さんのお話から「ひらめき」があったのでしょうし、残る言葉があったということだと思います。大人しそうに見えた子が近づいてきて『太田さんがチャンスの女神』と言ったのが印象的でした」

後日、今回の出張授業に応募された担当の星先生よりメッセージをいただきましたのでご紹介します。
「先日は、はるばる新潟の当校まで、お出でいただきまして誠にありがとうございました。小学生にも分かりやすい言葉を選んでお話ししてくださって、そして、優しい眼差しで質問も聞いてくださってありがとうございました。この出会いに感謝しています。「一期一会」とクラスの子どもが言っていました。

お話の言葉の一言一言が、「ことん」と心の部屋に入ってきました。

これまでの努力と輝かしい栄光、でもそれだけでない太田さんのお人柄。誰でもできる訳ではない復帰・復活を成し遂げ、今なお現役で走り続け、多くの人々に感動と夢と希望を与え続ける太田さんとの出会いに、「チャンスの女神」が微笑んでくれたと感謝します。

友人たちの中には、太田さんのことを知っている者も何人かおりました。わたしは講演でお聞きしたエキスを周囲の者に分けいるところです。

太田さんとスタッフの方々の温かい雰囲気が、とてもいい風になって、わたしたちを包んでくれました。

ご健康に留意されて，今後も益々ご活躍されますことを祈念しております」