このページでは2005年アルファチャレンジでのTEAM KEEP ON RACINGの活躍をレポートしてゆきます。

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アルファチャレンジ東北シリーズ第1戦  (2005.5.21)

太田哲也、145カップに監督として参戦!

◆アルファロメオチャレンジ東北シリーズ第1戦 (145カップ) 
宮城県:仙台ハイランド 天候:晴れ コース状況:ドライ

5月21日、アルファ145のワンメークレースにて、KEEP ON RACINGの新たな試みとして雑誌『Tipo』との共チームとして、太田哲也が監督、編集部・山田弘樹氏がドライバーとして参戦した。

その模様を、山田氏がレポートしてくれた。また、『Tipo』と『アルファ&ロメオ』誌でも当日の記事が掲載される予定です。  
                                     
KEEP ON RACING事務局


 「アタックはアウトラップを含めて2周。2周目で決めて来るんだ」

 太田監督に一番最初に言われた言葉だった。ここは仙台ハイランド。ハイランドといえば、ボクがティーポ編集部に入ったばかりの頃、太田さんが全日本GT選手権でF355を走らせた場所である。

 未知のコース、初めてのクルマ。サーキット走行の経験はそれなりにあるし、クルマはノーマルに準じた仕様の145。とはいえ、緊張感はすさまじい。だって出るからにはカッコ良く走りたい。ピット周辺の穏やかな雰囲気とは裏腹に、そんな言い訳がいくらでも自分の心からあふれ出してくる。すでに心臓は 超高回転に回っていた。


今回ボクが出場したレース(形式走行会)は、アルファロメオ・チャレンジ東北シリーズ第1戦からスタートした「145カップ」。いまや相場的には最も手に入れやすいアルファ・ロメオのひとつである145をベースに、バケットシート&シートベルト、足まわり&ブレーキパッドだけをサーキット用にファイ ンチューンした車両で走る。タイヤはいまや定番のSタイヤではなく、ラジアル(今回はPOTENZARE-01R)。フロアマットはOKだが、助手席やリアシートを取り去ることさえ許されていない。つまり、ランニングコストを限りなく抑え、かつ快適に自走してサーキットまでこられるようなナンバーつきマシンでアルファチャレンジを楽しもうよ! というのが、主催者のグースネックスポールの意図なのである。

さてボクのレポートなのであるが、今回のトピックは、その145カップのコンセプトの面白さ以外に、チーム・キープオンレーシングで参加したということだ。つまり、太田哲也さんが監督であり、ドライバーがボクという、すごく恐れ多くもゴージャスなレースだったのである。ここで監督がボクに出してくれた指示が、冒頭のコメントだったのだ。

 そして迎えた練習走行。初めてのコースに臆してタイムが全く出ない自分に、的確なアドバイスをくれる太田さん。コースの攻略法、クルマのニュアンス、素人なりに疑問は沢山ある。それに的確に答えつつ、しかし一番大事なことを単刀直入に伝えるそのセンスは、やはりレーシングドライバーの経験、しかもソリッドなフォーミュラやGTカーに乗った経験から来るものだった。

「アタックは2周まで。タイヤの性能が一番よいときに、タイムを出す。人間が集中できる時間というのは限られていて、一度走ったその走りをアタマで考え直さないと、次も同じことを繰り返すんだよ。 あ、マシンは限りなく丁寧に扱うこと。さっきみたいに無造作にレブリミッターに当てながら走るようだと、プロのドライバーなら間違いなくクビだぞ。最終コーナー、どうして縁石に飛び出す? 限界で走っていて仕方なくはみ出すならともかく、十分に余裕があるのにダートを走るなんて、マシンをいたわってない証拠だよ」

 そんな言葉がポンポンと飛び出す。

 確かに自分はこの年になって、プロを目指すわけではない。だが、オマエはプロのドライバーと同じ扱いを受けているんだぞ、という真摯な太田さんの姿勢は、超楽しい。ドライバーのやる気を奮い立たせ、ドライビングの面白さを教えてくれる。
 ボクが待っていたのはこの瞬間だったのだ。太田哲也という、古くはグランチャン、F3000、Cカー、ル・マンや全日本GT選手権にまで上り詰め、特に欧州車好き、アルファ好きの心を走りでつかんだドライバーの言葉を浴びる。これがサーキットのもうひとつの醍醐味なのだ。チームとしてレースをする。しかもアルファで。ボクは新しい遊びを見つけた子供のような気分になった。

 結果としてタイムは急激に伸び、参加台数18台のうち、最終的には目標の2分27秒台に入った。予選順位は9位。プロドライバーがフロントローを占める25秒台の2台は別にしても、ボクの出した27秒台には6台ものマシンがひしめいた。良くを言えばあと1秒。でもそれは、次にもちこしだ。

具体的には車高を下げ、タイヤの内圧を研究した。予選とその後に行われた走行会の枠を目一杯使ったために決勝ではタイヤがなくなってしまったのは残念だったが、決勝では順位を2つ上げ7位でゴール。それも、5位と3台で終始バトルを展開した末である。

 145カップは面白い。コストを最低限に抑え、かつワンメイクレースとしての厳しさにもまれ、上手くなって行ける。これで消火器とロールケージ、キルスイッチがつけば完璧であるが、それはおいおい提案されて行くだろう。

 そして、キープオンレーシングチームも刺激的だった。今回はまだたったふたりのチームだけれど、もしこれでドライバーが徐々に増えたりしたら、楽しいのは目に見えている。大好きなアルファ・ロメオで、まじめでホットにドライビングを追求して、悔しがったり喜んだりする。

 楽しみはすぐに終わらせない。次にハイランドを走ったら、あと1秒つめてやる(とおはいえ第2戦は菅生らしいけれど)。とにかく、チームでレースに臨 むという新しいスタイルがボクには見えた。そしてボクは、太田哲也さんに格好良い監督になって欲しいと本気で思った。        


 (文:山田弘樹 協力:アルファ&ロメオ編集部 撮影:山本佳悟)












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