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【講演レポート】「太田哲也の出張授業<夢を実現するために〜チャレンジ>」
2011年小学校第一回が行われました。

○日時:11月20日(日)
○場所:沖縄県那覇市立前島小学校
○主催:朝日小学生新聞
○共催:出光興産株式会社
○参加者:小学4〜6年 113人+保護者(全校児童245名)


2009年に始まった太田哲也の出張授業。子供たちに「夢をもつことの大切さ」や「チャレンジすることの意味」「交通安全」について学んでいただき、「クルマ好きを増やしたい」という目的もあります。これまでの2年間は、朝日小学生新聞紙上にて募集を行い、毎年約100校程度の応募の中から3校に行き、実施してきました。本年度は、朝日小学生新聞および朝日中学生新聞紙上にて募集を行い、その中から小学校2校、中学校2校にて実施します。
 2011年1校目の学校は、沖縄県の繁華街・国際通りからも近い小学校です。学校につくと、アロハシャツを着た校長先生、教頭先生が出迎えてくれました。この小学校は、那覇市内の中心地にあり海抜2mの塩田を埋め立てた土地が立地で、昭和40年代には1300名いた生徒が、現在はドーナツ化現象で、生徒数が減少の一途にあり、近隣学校との統廃合の話も浮上している状況だとのことでした。とはいえ、地域愛に溢れる校風で、生徒の保護者の方も卒業生が多く、この日も父兄参観日でしたが、多くの保護者の方々が授業参観をされ、活気に溢れていました。
 事前に校長先生からお話を伺うと、「子供たちは素直で仲もよく、子供らしい子たちばかりです。ただ、学年の中には1クラスしかなくクラス替えがない学年もあり、全員同じ中学に進むので、上級生が下級生の面倒をみることを進めるなどしていますが、社会性を育てることが課題です」ということでした。

 いよいよ講演がスタート。今回は、生徒と保護者の皆さんも一緒に話を聞くというスタイルです。太田さんのVTRを上映した後、「夢を叶えるために」というテーマで話が進み、最後は恒例の質問コーナーです。「手が挙がるかどうか…」と先生たちも心配していましたが、時間をオーバーする程たくさんの挙手があがりました。


Q.
クルマに乗ると体が痛くなりませんか?
A.

車を乗る前からずっと体が痛くて、確かに車を運転しても体は痛かったりしましたね。ただ体の痛みにはだんだん慣れてくる。それと車に対する痛みとか怖さがありました。車に乗っているとまた事故に遭うんじゃないかという心の痛み、それはとても大きいものでした。その心の痛みはなくなったかというと、今もあるんじゃないか。たとえば大雨が降ったりするとちょっと怖いなと思う。でもなんでまた車に乗るのかというと、どんどん自由が広がって人生に楽しいことが広がっていくわけですよね。そういう痛みと歓びをはかりにかけたら喜びの方が大きいから、今はクルマが大好きです。なかなか痛みは克服できないけどそれを超える何かがあれば我慢できるんじゃないかな。そんな風に思います。

Q.
これからどうやって生きていきたいですか?
A.
先生は今52歳になったんですよ。若いなって言われるんだけどそれには一つ理由があって、年を取ってくると、先は大体こんな人生だなって思うようになるけど、でもそうじゃなくて、自分の気持ち次第で新しいことってどんどんできるんだなって思うようになった。それこそ今日君たちに言ったことは自分にも言っていることで、恥かいてもいいからいろんな事にチャレンジしたいと思っています。たとえば今レースもやっているし、レースに出る人を教えてもいるし、本も書いているし、こうやってみんなに触れあっていろんな子どもたちに会って、つらいことはあったけどそれがみんなに少しでもプラスになってくれることが伝えられたら楽しい。それは何故かというと、僕は多分みんなより早く死んじゃうけど、みんなの心の中に生きていけることになるから楽しいんです。そういうことをいっぱいやって生きていきたいと思っています。
Q.
事故で炎に包まれた時は、どんなことを考えていましたか?
A.
炎に包まれたときは、さっきも言ったけど意識を失っていました。意識を失っていたから炎に包まれていたことは全く覚えていません。そうして黒いマントの男をずっと見ていました。だけどもじゃあ実際の身体はどうだったのかなあと思うと、やっぱり僕の体は痛がったりしていたんだと思います。そのとき何かが、僕もこれは表現できないけど、宗教的を持たないし、神様を信じたりもしないんだけど、何か体の機能を止めて痛みを止めてくれる機能が働いて、あの黒いマントの男に会ったのかなと思います。僕は今はあの黒いマントの男を死神とは思っていません。僕を辛さから助けてくれた人、あるいはこれからの人生を教えてくれた人、とても大事な人だと思うんです。そういう人に出会えるチャンスが炎の時にあったということなんです。

Q.
どうやってレーシングドライバーになったんですか?
A.
まずレーサーにどういう人がなるかというと、子どものころからカートという小っちゃい車を運転して修行してレースに出る人がとても多いんです。でもそれには条件があってお父さんがお金持ちであること、あとレースをやらせたいと思っていることが必要です。僕にはそのどちらもなくて、むしろやらせたくないと反対でした。僕の親は、税理士に、計算をする人になれと言っていました。僕はその勉強はしていたんだけど、どうもそれは僕に向いていなかったんですよね。僕は計算が苦手なのに計算する人になってその仕事がいいといわれてもどうなんだろうと。
その中で自分に向くことを仕事にしようかと思った時にレーサーをと考えたんです。子どもの頃からレースが好きだったわけじゃないんです。大学のときたまたま近くでレースをやっている人がいてそれを見て、これは、自分に向いている仕事じゃないかなと思ったんです。自分の能力に関して、集中力がすぐになくなっちゃうんです。でも短い時間ならとても集中できるところがある。それはがレースに向いているんじゃないかと。
さっきも言ったけど好きな仕事がすでに見つかっていてそれを目指すという人はそれでいいです。でも好きなことがわからない人は、好きなことではなくても自分に向いていることを探すつもりでいると、こういう職業なら向いているなあ、そうするとありがたい言葉がいっぱい返ってくるな、ということがわかってくるでしょう。

Q.レーサーになりたいと思ったのは、いつからですか?
A.
僕がレーサーになったのは22歳のときです。ものすごく遅いスタートでした。カートをやっている子どもは4歳5歳からやっていますよね。一方で、自分が車の運転って楽しいなと思ったのは18歳で免許を取ったとき。それまで自分がレーサーになれるとは思わなかったしどこが入口かもわからなかったから22歳のスタートでした。レースを始めて4年目にはプロになって日本のトップのカテゴリーに出られるようになりました。
でも遅くはじめても十分やっていけるということです。だから君たちもあせることはない、ゆっくりと好きなことや向いていることを見つけてください。

Q.初めたころレースが恐くなかったですか? 
A.
僕がレースを始めたのはつくばサーキットというあまりスピードの出ないサーキットだったのであまり怖くなかったんですけど、高速カーブ主体の富士スピードウェイでレースをやるようになると、恐いと思いました。ここでミスったら死んじゃうな、と。だから新人のころは、低速のテクニカルコースは得意だったんだけど高速コースはとても苦手で君の言うとおり怖かった。
でもあるとき考え方が変わって、例えば平均台、わかりますよね、これは地べたにおいてあったら別に怖くないですよね、落ちもしないですよね。でもこれが100mくらい高いところにあったら、10mくらいなところにあっても怖いですよね。落ちたら死んでしまうかもしれないし。でも地べたで落ちないものが10m高かったからって落ちないわけですよ。そう考えたら俺はミスをしなければいいんだ、それが100kmだろうが300qだろうがミスをしなければいいんだ、いつもと同じように冷静に扱えばいいんだと。レーサーってもしかしてかっかとして走っていると思っているかもしれないけど、そんな走りではコースをはみ出しちゃったりするんですよ。やっぱり自分が冷静なマシンになること、操作を間違えないこと、そう思うようになって5年くらいたったとき、君たちがドライビングゲームやっている人の後ろから見ている人みたいに冷静に自分の運転を見ることができるようになって、あまり怖くなくなりました。間違えなければいいわけです。


【講演を終えて〜校長先生談話】
「今回生徒と保護者の方に聞いてもらいましたが、子供と大人とでは感じ方が違うでしょうし、子供の時に今回のお話を聞くと、それぞれの成長のスピードによって、いつか必ず『あの時、太田先生の話を聞いた』と思い出す場面があるでしょう。辛い時ほど思い出すと思うので、それを乗り越えてほしいと思います。彼らに、失敗すること、恥をかくこと、チャレンジすることの大切さが伝わったと思います。私たちにとっても、今日話が聞けた子供たち、保護者の方たちも、超がつくほどラッキーな1日になりました」









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講演に来てくださった皆さん、誠にありがとうございました。

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